特別記事・学会の話題 '71 日本医学会総会・内科関係学会から
会期はこれからも2日間に—第33回日本血液学会総会から(4月4,5日:東京)
高月 清
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1京大第1内科
pp.1133
発行日 1971年6月10日
Published Date 1971/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203740
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唯一のシンポジウム"胸腺"
第33回日本血液学会総会は会長岡林篤千葉大教授で開かれた、シンポジウムは一題だけで「胸腺―ヒトの胸腺を中心として―」が公募で採択された演題も含めて8人の演者で討論された(司会東大畔柳.北大解剖伊藤・阿部,京大内科滝口,慶大病理渡辺・玉置,東大内科狩野ほか,弘大病理永井・杉山,市立札幌病院宮田ほか,京大内科加納,北大内科常松ほか).今まで重要視されながら臨床的に検索しにくいため話題となりにくかった胸腺であるが,ヒトと実験動物との間には本質的にはともかく現象的にはかなり異なった面があり,そのギャップの解決なくしては胸腺の臨床は理解できないであろう.各種自己免疫疾患,重症筋無力症,赤芽球癆,免疫不全症,M蛋白血症などと胸腺異常との関係は広範に論じられたが,従来の説を超える新しい作業仮説の必要性が感じられた.すなわち従来のT-cell(胸腺依存)とB-cell(Bursa型中枢依存)に分ける考え方はたしかに便利ではあったが,骨髄リンパ球の役割が解明されてくるとかなり修正が必要になるのではなかろうか.なおヒトの胸腺という限り小児科領域からの参加が望ましかった.
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