目で見る臨床検査シリーズ
糞便の肉眼観察と検査
林 康之
1
1順大臨床病理
pp.1248-1249
発行日 1969年11月10日
Published Date 1969/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202868
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X線検査法および内視鏡検査技術の進歩普及とともに古典的ともいえる糞便検査はやや軽視されてきつつある.特に小児科患者をのぞいては採取・運機・検査・廃棄などすべての段階で何かと取り扱いに障害が多く,一般にスクリーニングテストとしての潜血反応,虫卵検査のみが実施されるのみになりつつある.しかも,検体である糞便は直接検査室へ送付され,主治医の眼は通っていない.さらに検査項目としての外観,色調は主治医でなく検査室で記入することを要求されることすら起こってきている現状である.
糞便の外観・色調の観察は尿検査同様にかなりの診断的情報が得られ,主治医の立場からすれば一見してただちにこの糞便はどの項目を検査して診断を確かめるかが理解される.いかに患者の観察とその表現が正確であっても,また検査にあたった技師の報告が正しくとも,主治医ほどの医学的知識や経験にもとずく判断は期待できない.糞便の外観・色調などの観察は検査業務というよりはむしろ医師の診療上の判断業務に属すべき性格のものである,したがって,血液あるいは体液の複雑な時間を要する分析検査を検査技師に依頼することとは異なる.
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