内科疾患と皮膚・10
魚のうろこ状皮膚(魚鱗癬)
西山 茂夫
1
1東大皮膚科
pp.1371-1373
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202453
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魚のうろこ状の皮膚(魚鱗癬症)の定義と分類
皮膚が乾燥して,ひび割れができ,その表面に魚のうろこのような鱗屑が固く付着している状態を魚鱗癬症(Ichthyosis)という.魚鱗癬症と皮膚乾燥症(Xerosis)(図1)との違いは,前者が夏には比較的良く,冬には増悪するという多少の季節的変動があるとはいえ,1年中存在していることである.つまり魚鱗癬症ではなんらかの先天的・遺伝的な要因が,皮膚症状の発現に重要であるということが考えられる.
魚鱗癬症はかつて臨床形態学的に,尋常性魚鱗癬,先天性魚鱗癬,魚鱗癬様紅皮症,豪猪皮状魚鱗癬などに分けられていた.近年遺伝学的な研究が進んで,たとえば尋常性魚鱗癬といわれていたものにも,遺伝的には2つの異なった形式があることがわかり,魚鱗癬症を表1のように分類することが提案され,広く用いられている.
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