内科疾患と皮膚・3
顔に蝶型の紅斑を生ずる疾患
西山 茂夫
1
1東大分院皮膚科
pp.540-543
発行日 1968年4月10日
Published Date 1968/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202193
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
紅斑とは
紅斑(Erythem)とは,皮膚の末梢血管の拡張と充血によつて生ずる可逆的なあかい斑をいう。したがつて皮膚に炎症があれば,多少とも紅斑が存在する。たいらな紅斑は浸潤性炎症を,浮腫性に盛り上がつた紅斑は浸出性炎症を示し,丘疹状の紅斑は増殖性炎症を現わすことが多い。浸出性炎症の激しいときには紅斑の上に水庖をつくることがある。これに対して,血管の非可逆的な拡張によるあかい斑は,血管拡張(Teleangiektasie)として,紅斑と区別する(たとえば血管腫,Vascular spider,紙幣状皮膚など)。
顔の蝶型の紅斑,つまり鼻を中心とした左右対称性の頬の紅斑の臨床的意義は,つぎのように要約される。すなわち,1)日光光線に対する異常な反応として,光線過敏性を有するいろいろな疾患で生ずる(ペラグラ,Hartnup症候群,光線皮膚症,Bloom症候群など)。2)皮膚分節性の投影として,いろいろな全身性疾患の部分現象として生ずる(エリテマトーデス,猩紅熱,血管運動性の不安定な人の一過性の潮紅―たとえば本態性高血圧症,赤血球過多症,カルチノイド症候群,糖尿病―など)。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.