EDITORIAL
胃の集団検診後のフォローアップ
脇田 南洋
1
1東京都衛生局
pp.203
発行日 1968年2月10日
Published Date 1968/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202092
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東京都におけるがんの診療は,主として都立病院をはじめ,国立がんセンター,大学その他の公的医療機関において行なわれているが,これらの病院においても需要に応じきれず,相当の待機患者があり,今後さらに増強が必要の状態である。一方行政ベースとしては,国の方針にもとづき,死亡率の特に高い胃がんを第一義的にとりあげ,昭和41年11月からとりあえず検診車2台によりPRを兼ねて胃集検を開始,精密検診ならびに治療は上記治療施設に依頼する方法をとつた。41年度の成績は,間接一次検診5,219名,要精検者数957名,要精検率18.8%,精検受診数573名,精検受診率60%であり,精検依頼方式の全国平均値40%台に比べるとよい成績である。一方自己機関でスクリーニングから精検まで一貫して行なつている場合の精検実施率70〜80%に比べると多少低いが,初年度としてはやむをえないであろう。発見された胃がんは,精検受診者に対し1.2%,7名で,このうち3名がいわゆる早期がんであり,ポリープは同1%,胃潰瘍は同10%,十二指腸潰瘍は同6.2%,異常なしは同29%であつた。治療施設は前述のごとくそれぞれ日常外来者の検査で手いつぱいの状態であり,行政検診からの要精検者が新規に割り込む余地は零に近く,かえつて精検待機患者を増大させ,治療機関本来の機能を麻痺させる結果となり,フォローアップの依頼など望むべくもない。
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