臨床メモ
ひどいニキビの治療
安西 喬
1
1関東労災病院・皮膚科
pp.521
発行日 1967年4月10日
Published Date 1967/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201732
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ひどいニキビといわれて,まず思いつくのは膿疱性痤瘡である。この型はとくに男性に多い。化膿菌としては,ブドウ球菌が多いが弱毒性のことが多く,はつきりとした膿疱をつくらずに,しばしば硬結性痤瘡の型をとる。このような硬い小結節のめだつものでは化膿菌感染の加わつていることを考えて,サルファ剤,抗生剤療法を行なわないと,単にホルモン療法のみでは,治療の効果をあげることはできない。とくにエリスロマイシンがよい。また,同時にブドウ球菌トキソイドの皮内注射療法を併用している。このような膿疱型では,膿疱が破れたあとに,噴火口状の小瘢痕を残し,痤瘡瘢痕(あばた)となつて美容上にも問題を残してくるので,皮疹を早くなおして,あとに瘢痕を残さないことが肝要である。
もう一つ女子にみられるもので,月経前増悪型痤瘡premenstrual acneというのがある。文字どおり,痤瘡発疹が月経前5〜7日のころに,増悪してくるものであるが,新しい丘疹ができてくるよりも,既存のものが赤みを増し,大きくなつてくる。一般に,暗紫紅色の比較的大きな丘疹で,滲出性傾向が強く,水々しい感じを与えるのが特徴である。また23,4歳以後の比較的高年の女子に多い。治療にはプレグナンジオールを4〜6γ内服させ,3〜4性周期の間連用させる。月経前増悪をみたとき,プロゲステロン2〜5mg隔日筋注すると軽快するが,これではつぎの周期の増悪を予防することはできない。
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