特別記事
ヒトが"ひど"になるために—breastfeedingは当為である
山内 逸郎
1
1国立岡山病院
pp.930-935
発行日 1985年11月25日
Published Date 1985/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206755
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§母乳育児は当為である
いま,助産婦なら誰もが母乳育児に強い関心をもっていると見受けられます。そして,お母さんたちの母乳への意識も非常に高いものがあります。
しかし,今まで哺乳動物のなかでは人間だけが産んだわが子を自分の乳で育てないで,ウシやその他の乳で育てるということをしてきたのです。哺乳動物はわが子を育てるのに,自分のお乳以外の乳で育てることはありません。人間も哺乳動物の一員であるからには,自分のお乳で子どもを育てるのはごく自然の成りゆきであり,自然界の法則に一番かなった育児法なのです。それぞれの動物は,何万年,何十万年かかって最適な生存のあり方を作りあげてぎていますが,育児にあたって,一番大切な時期に人乳でなくウシの乳をあてがわれるのは,なんともまことに残酷なことだといえましょう。ヒトはヒトのお乳で育てよう。このことをしっかりと念頭に刻んでおいてほしいのです。
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