この症例をどう診断する?・2
討議
和田 敬
1
,
金上 晴夫
2
,
田崎 義昭
3
1久留米大・内科
2国立がんセンター・呼吸器科
3東邦大・内科
pp.1418-1423
発行日 1965年9月10日
Published Date 1965/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201001
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和田 72歳の男性で,主訴は左上下肢の運動障害ということですね。糖尿病があるので動脈硬化は促進していると思います。酒客であるということですが,私これは非常に重視すべきことじやないかと思うのです。なぜかと申しますと硬膜下血腫を起こすことが多いからです。酔つぱらつているので,ぶつけたというようなことを覚えてない。しかも,数日から数週・数カ月とか,まれには,数年後に症状を現わしてくるのですね。この患者には外傷はありましたか。
田崎 5月に倒れた時頭は打たなかつたが,腰を打撲しております。家人もころんでから足がきかなくなつたと考え,最初某大学病院の整形外科につれて行つていますが外傷性のものではないといわれたとのことです。老人やアルコール中毒者では,きわめてわずかな外傷や,あるいは外傷の既往が明らかでないのに硬膜下血腫を起こしますので,この患者にも一応考えておくべき疾患ですね
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