治療のポイント
急性腎炎と社会復帰
木下 康民
1
1新潟大内科
pp.380-382
発行日 1965年3月10日
Published Date 1965/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200734
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はじめに
「急性腎炎と社会復帰」という題目に奇異の感をいだく人があるとすれば,急性腎炎は治療しやすい疾患であるという考えが根底にあるからではなかろうか。急性腎炎は四季を通じて相当多数見られる疾患である。しかも浮腫,蛋白尿,血圧亢進の3主徴を示す場合はかならずしも多くないばかりか,これらの症状は大多数の患者で比較的短期間に消失してしまう。この臨床症状ないし所見の消失をもつて本症が治癒しやすい疾患として長期の観察がなおざりにされ,厳重な医師の監督から離れ,短期間の治療,休養をもつて社会復帰が行なわれているとしたら,はなはだ寒心すべきことである。
現在の腎炎の予後に関する見解として「急性腎炎は徹底的に治療しなければ将来,慢性化の可能性が大きい」ということを知るならば,「急性腎炎と社会復帰」という言葉の重要性と妥当性を十分理解しうるはずである。
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