書評
―谷口俊文 著―内科診療ストロング・エビデンス
八重樫 牧人
1
1亀田総合病院総合診療・感染症科
pp.703
発行日 2014年4月10日
Published Date 2014/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107489
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日本の医療はガラパゴス化している.専門分野以外は十分な卒後教育を受けることなく診療していることが一因である.2004年に卒後臨床研修が必修となり改善はされているが,内科ジェネラリストとしてのトレーニングは依然不十分なままである.その結果,世界各国でエビデンスが不十分であるとされる薬(例えばシベレスタット)に巨額の医療費が投入され,一方で必要な治療・予防が提供されていないことも多い.後者の一例としては,65歳以上人口の肺炎球菌ワクチン接種率はいまだ15%程度である.
エビデンスのある治療が患者さんに届いていない状態を「エビデンス・プラクティス・ギャップ」という.このギャップに果敢に挑戦したのが本書である.著者の谷口俊文先生は,コロンビア大学の関連病院であるSt. Luke’s-Roosevelt病院での内科研修を経て,『ワシントンマニュアル』で知られるワシントン大学で感染症の専門研修を修了し帰国した.留学中から,よき内科系サブスペシャリストになるためには総合内科の確固たる知識・臨床能力が必要であることを理解しており,週刊医学界新聞に「レジデントのためのEvidence Based Clinical Practice」を連載していた.その内容をグレードアップしたのが本書である.連載も素晴らしかったが,今回の書籍化では格段の進化を遂げている.
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