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消化器病学は消化管,肝胆膵,腫瘍など多臓器にわたる,多様な疾患を対象としており,消化器疾患には内科医がプライマリケアで対応すべきcommon diseaseが多数含まれています.ゆえに,一般内科医が外来で消化器薬を処方する機会は,きわめて多いと思われます.2007年に本誌で「消化器薬の使い方」が特集されてから,すでに6年余が経過しました.最近,消化器病学の少なからぬ分野で,疾患概念の変革がなされ,画期的な新規治療薬が臨床応用されています.さまざまな分子標的薬が開発され,治療効果,予後が劇的に改善した疾患もあります.また,診療環境,治療戦略は年々変化し,診療ガイドラインが整備,更新されてまいりました.他方,がん化学療法を計画遂行するのは外科医から腫瘍内科医へ役割分担が移行しつつあり,さらに一般内科医との病診連携パスでがん診療を行う時代になってきています.緩和ケアも在宅医が主力を担う時代になっていくはずです.したがって,一般内科医も抗腫瘍薬やオピオイド薬の使用を自家薬籠中のものにしなければならない必要性がでてまいりました.
ところで,われわれ医師が患者さんに薬の処方を開始するとき,変更するとき,追加するとき,どのような思考経路を辿って決断を下しているのでしょうか? 患者さんの自覚症状や病態から予想される疾患名,ガイドライン,エビデンス,さらに保険適用かどうかを,いちいち頭のなかで確認してから処方箋を切っているのでしょうか? 否,たぶん,治療薬の知識・情報は頭のなかのライブラリにあらかじめシステム化されていて,瞬時に,必要な情報をユニットごとに引き出しているのでしょう.しかし厄介なことに,昨今,新薬が次々に発売されています.そのうえ診断基準や診療ガイドラインはしばしばアップデートされますし,保険適用も拡大されたりします.その度に頭のなかのシステムを丸ごと入れ替えることは大変ですし,消化器疾患すべてのガイドラインを網羅しておくのは不可能です.しかし,あらかじめ脳内のシステムインターフェースを規格化・標準化してさえおけば,情報ユニットごとの追加,削除を容易に行えます.
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