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本書の特徴は,単純X線写真の所見を記し,その所見を得るために必要な解剖や疾患の知識が簡潔にまとめられていることである.最初にCR画像の基礎知識,次に領域別の各論(頭部・頭頸部,胸部,腹部,骨軟部組織)を掲載し,単純X線写真が最も威力を発する胸部と骨軟部組織領域に多くのページを割いている.各項目はコンパクトにまとまっているが,最新の疾患概念にも言及し,さらに,単純X線写真の横に答えとなるCTやMRI画像を掲載した理解しやすい本である.研修医必携の一冊であるとともに,放射線診断,内科,外科のスタッフも,楽しく知識を確認することができ,日常の臨床に役立つ良書である.大先輩の先生方により執筆された「ビューワー」(フィルムレス時代に合わせて「しゃーかすてん」から変更になったとの記述あり)と名付けられた10編のコラムは,画像診断のうんちくや読影力向上の極意が含まれ,読んで楽しく,大変ためになる.
本書の編集者である黒﨑喜久先生は,頭頸部領域や超音波診断の第一人者であり,多くの著書や論文を執筆されている.しかし,私は,黒﨑先生はそのような分野にとどまらず,あらゆる領域の画像診断に造詣が深い,general radiologistの代表選手だと思っている.黒﨑先生は,私に画像診断の楽しさと奥の深さを教えてくださり,画像診断の「いろは」をたたき込んでくださった恩師である.私が研修医であったころ,黒﨑先生から読破するように勧められた本は,『Paul and Juhl's Essentials of Radiologic Imaging』であった.本書『単純X線写真の読み方・使い方』を読み終えたとき,Paul and Juhlを思い出した.本書は,名著Paul and Juhlをコンパクトにし,さらに最新の疾患概念を付け加えた本であるといえるのではないだろうか.
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