特集 大きく変貌した脳梗塞の診断と治療
扉
木村 和美
1
1川崎医科大学脳卒中医学
pp.187
発行日 2013年2月10日
Published Date 2013/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106639
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脳梗塞の診療は,「分からない・治らない」時代から,「分かる・治せる」時代に大きく変貌している.ドクターヘリによる搬送,t-PA静注療法の認可,血管内治療の登場により,この数年の変化は目覚ましいものがある.t-PA静注療法が,発症3時間以内にしか使用できなかったが,2012年8月31日より4.5時間まで使用可能となった.これまでだと寝たきりとなったり,死亡されていた人が,場合によっては歩いて退院する時代になった.また,最近の研究で,一過性脳虚血発作の患者は,発作直後に完成型脳梗塞になる可能性が高いこと,しかし適切な治療により脳梗塞を回避できる可能性があること,が示された.さらに,もし発作が起こってもt-PA静注療法により治療可能であり,一過性脳虚血発作直後は,緊急疾患として扱うことがクローズアップされている.
脳梗塞急性期の治療は,言うまでもなく,各々の患者の病態を把握し,その病態にあった治療を行うことである.ラクナ梗塞,アテローム血栓性梗塞,心原性脳塞栓症,また,まれでない病態として奇異性塞栓症,脳動脈解離,大動脈原性塞栓症が挙げられる.これらを,MRI,超音波,SPECT,血管造影検査などを駆使して,総合的に病型を診断する.よく患者を診察し,画像診断と総合的に病態解明に努めることが大切である.
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