今月の主題 急性心不全への挑戦
扉
佐藤 直樹
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1日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科
pp.2047
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106555
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急性心不全患者は増加の一途をたどり,現在では心筋梗塞患者数よりも多いことがわかっています.このように多くの患者がいるにもかかわらず,急性心不全診療はエビデンスに乏しく,日常診療が手探りで行われています.この現状を把握し,問題点を抽出して,より良き診療へと結びつけることは,非常に重要な課題だと思います.
このような観点から,われわれは6年前から急性心不全の実態を把握すべく急性心不全疫学調査(ATTEND Registry)を開始し,4,800例以上の患者登録を行い,その全貌が少しずつ明らかになりつつあります.また,日本循環器学会から急性心不全治療ガイドライン2011年改訂版が公表されました.これを土台に,現状を把握したうえで,目の前にいる患者に対してわれわれはいかにevidence based medicine(EBM)を実践するかを検討する時期に来ています.EBMとは,三位一体,すなわち,エビデンス,医師の技量,そして,最も大切な患者背景を考慮して行う医療です.これを実践するために,エキスパートの知識と経験を集結し,急性心不全への対応についての共通認識を明確にするとともに,来るべき課題を見据え,一般内科医の先生方との連携をも含めてさらなる“良き急性心不全診療”を目指したいと考えています.それが,急性期に限らず予防を含めた心不全診療をより良くすることにつながります.
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