今月の主題 内科診療に役立つメンズヘルス
扉
堀江 重郎
1
1帝京大学病院泌尿器科
pp.1869
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105625
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医学における男女の性差を論じる性差医学が登場して20年近くなる.この間,女性の健康意識を高め,女性医学を推進していく「ウィメンズヘルス」が,乳癌,骨粗鬆症,女性更年期などの分野を中心に大きく発展してきた.一方,男性は医学の標準(norm)とされてきたものの,世界的に医療機関へのアクセスは女性よりも悪く,健康意識も低いことが報告されている.日本は健康長寿大国であるものの,厚生労働省の国民健康・栄養調査においては,この20年間成人女性のBMIがどの年齢層でも低下しているのに対し,男性はどの年代でも増加している.また,日本の平均寿命は世界一であるが,男女の平均寿命の差は約7年間と,ほとんどのOECD加盟国より大きいことも事実である.
このように,男性であることが健康に悪影響を与える状態を改善するために,「メンズヘルス」という考えが,今注目されている.狭義の「メンズヘルス」の概念には,①前立腺疾患など男性に特有な疾患,②テストステロンの減少によるLOH(late-onset hypogonadism)症候群,心血管障害などのリスクファクターである勃起障害(erectile dysfunction:ED),および③生活習慣病の発症や病態の男女の性差,などが含まれている.また,より広い意味では自殺,事故などを含む社会医学的な側面も含まれる.
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