REVIEW & PREVIEW
メタボリック症候群に合併するうつと運動療法の有効性
中津 高明
pp.2026-2029
発行日 2010年11月10日
Published Date 2010/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104906
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メタボリック症候群は肥満に軽度の高血圧,脂質異常症,耐糖能異常などを伴う病態である.その病因にはインスリン抵抗性,自律神経異常,アディポサイトカイン分泌異常に加えて未知の因子が複雑に絡み合っている.問題は,この病態を放置すると動脈硬化を介して重篤な脳心血管疾患を起こすことである.一方,この病態は症状が少ないため投薬の継続も難しく,しかも生活習慣も含めた指導管理が必要で,そのコントロールは簡単ではないことを実感している.
メタボリック症候群が思いのほか治療抵抗性であることから,メタボリック症候群を最近,うつや気分障害の面からとらえ,この病態と向き合おうとする報告が見られ,われわれも同じ必要性を感じている.というのも,当院は高松市郊外の,ごく一般的な患者が来院する病院であるが,循環器内科の外来でも約半数はメタボリック症候群由来の疾患と考えられる.循環器内科を訪れた外来新患にうつの自記式評価尺度であるSDS(Self-rating depression scale)テストを施行し,総スコア50点以上をうつ,40点以上をうつ傾向と定義すると男性の15%,女性の24%がうつと判定された.さらに驚いたことはうつ傾向は男性の45%,女性の54%にも上ることが判明した1).したがって,気分障害への対処も含めた包括的管理の必要性を痛感したわけである.
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