書評
―エリザベス・マッキンレー,コリン・トレヴィット 原著 遠藤英俊,永田久美子,木之下徹 監修 馬籠久美子 翻訳―認知症のスピリチュアルケア―こころのワークブック
朝田 隆
1
1筑波大学・精神医学
pp.1266
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104553
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私が認知症になったら,さぞかし意地悪のボケ爺さんになることだろう.となると,ケアスタッフから大いに嫌われる可能性が高い.悪態をつくか,自虐ネタで笑いをとるかはわからないが,本心ではさぞかし淋しかろう.そもそも自分が壊れてゆくことは,多少とも自覚できるようだ.また人並み扱いされず,人が自分から去ってゆくうえに,意地悪への仕返しでもされたなら,さぞかしへこんでしまうことだろう.
そんな意地悪爺さんも含めた認知症の人を励ますとしたら,何より大切なのは「私は人から必要とされ尊重されている」という実感と「希望」とをもってもらうことだと思う.
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