今月の主題 アレルギー疾患を疑ったら,こう診る!
扉
森本 佳和
1
1山田メディカルクリニック
pp.185
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104296
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今や国民の3割がアトピー性皮膚炎,花粉症,喘息などのアレルギー疾患をもつといわれている.アレルギー疾患はもはや国民病であり,どの医師にとっても,ますますその診療の重要性を増しているといえよう.アレルギー疾患は何科の医師にとっても頻繁に出会う疾患であるが,鼻・肺・皮膚……と,多臓器にいくつもの疾患が合併することがその診療に障壁を伴う.「プライマリケア医」の重要性が叫ばれているものの,プライマリケア医をかかりつけ医としてもち,その医師の管理のもとで,ほかの専門の科にかかる患者はまだ少数派である.つまり,アレルギー疾患の治療を求められた専門の医師にもプライマリケア医としての役割が求められ,プライマリケア医にもアレルギー専門医としての役割が求められているのが現状である.当然,難治例は別としても,あるレベルを維持しながら,アレルギー全般の診療を行うことは可能であるし,またそれが求められているのである.
また,アレルギー疾患によって致命的な結果をもたらされることもあるものの,アレルギー診療の多くは患者のQOL(生活の質)を改善することが目的となる.そのため,従来から比較的軽視されがちで,その診療の質向上にあまり努力が払われない傾向があったことも事実であろう.アレルギー診療も科学の発達,エビデンスの集積によって常に改善されて進化している.多くの医療関係者にそれらを伝えることのできる一貫したアレルギー診療の情報提供の場は大変重要であると考えられる.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.