連載 市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより・10
尿路感染症のマネジメント
藤田 崇宏
1
1静岡県立静岡がんセンター
pp.186-191
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103764
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ケース 高熱と下腹部痛・右背部痛を訴える尿道カテール留置中の80歳女性
現病歴 脳梗塞後遺症にて左不全麻痺,神経因性膀胱があり,尿道カテーテル留置中(1カ月に1回交換)の80歳女性.軽度の認知症があるがコミュニケーションは可能.前日からの尿量減少,尿の混濁があった.また当日からの下腹部痛,右背部痛および悪寒戦慄を伴う発熱があるため救急外来を受診した.
身体所見 体温38.5℃,心拍数120,呼吸数25,血圧100/60.全身状態:きつそうである.頭頸部:異常なし.心臓:I・II音正常,雑音なし.胸部:肺胞呼吸音,ラ音なし.腹部:平坦・軟,右背部(肋骨脊椎角部)の叩打痛,腹部触診にて筋性防御はなく下腹部の軽度圧痛あり,肝脾腫なし,四肢:皮疹なし.尿バルーン内は混濁尿を認める.
検査データ 血液所見:白血球17, 500/μl(桿状核好中球17%,分葉核好中球64%,リンパ球16%,単球2%,好酸球1%),ヘモグロビン9.5 g/dl,ヘマトクリット29%,血小板35×104/μl.尿所見:pH 7.5,蛋白(+)・糖(-),赤血球50~70/HPF,白血球>100/HPF,細菌3+.
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