今月の主題 内科エマージェンシー2007 鬼門を克服する
扉
田中 和豊
1
1済生会福岡総合病院臨床教育部
pp.637
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102667
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敵を知り,己を知れば百戦危うからず
──孫子
一次から三次救急患者のなかで最も数が多いのが内科系救急患者である.しかし,日本の救急医学は,外傷救急から始った経緯により診療範囲が外傷・熱傷・中毒に偏っていて,一番重要な内科系救急が欠落している.このため,救急医が内因性疾患を診察すると,鑑別診断など考えずに一通りの検査をして,お決まりの「内科コンサルテーション」に終わってしまう.いわゆる「丸投げ診療」である.こういう診療を見た研修医からこう質問されたことがある.「救急医は救急隊や看護師とどう違うのですか?」と.
一方,日本の救急医療では現在でも一次二次の内科系救急患者は,救急医が診察するのではなく内科医が診察するのが一般的である.ところが,この一次二次の内科系救急患者を内科医が診療すると,自分の専門科以外の病態は全くわからない,あるいは,少し重症な患者は全く手に負えない状態になってしまう.こういう診療を見た研修医からこう言われたことがある.「内科の先生は自分の専門外のことは全くわからない」,「内科の先生は自分の患者の状態が悪くなるとその患者をすぐ人に渡す」と.
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