連載 Case Study 診断に至る過程・6
伏兵―不十分な鑑別診断
松村 正巳
1
1金沢大学医学部附属病院 リウマチ・膠原病内科
pp.406-411
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102033
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病歴&身体所見
67歳,女性
主 訴:全身倦怠感,下肢のむくみ
現病歴:2カ月前から全身倦怠感,下肢のむくみが出現した.呼吸困難,動悸,発熱,食欲低下,嘔吐,下痢,先行する感冒様症状はない.体重が2カ月で46kgから49kgに増加したという.
既往歴:19年前から高血圧の治療を受けている.7年前から骨髄異形成症候群,骨粗鬆症の治療を受けている.
家族歴:特記事項なし.
嗜 好:たばこは吸わない.お酒も飲まない.
内服薬:ニフェジピン(アダラートL®)40mg/日,シクロスポリン(サンディミュン®)50mg/日,アルファカルシドール(アルファロール®)0.25μg/日,芍薬甘草湯7.5g/日
身体所見:血圧150/80mmHg,脈拍90/分・整,体温36.9℃,呼吸数14/分.眼瞼結膜に貧血を認める.呼吸音異常なし.心尖拍動は鎖骨中線より外側に径3.5cm触れる.心音はI音が減弱し,心尖部にgrade 2の汎収縮期雑音を聴取する.腹部に血管雑音は聴取しない.両下肢に沈下性浮腫1+を認める.神経学的所見では,下肢近位筋(大腿屈筋,大腿四頭筋)の筋力低下4/5を認める.腱反射は下顎反射が陰性で,その他は+である.病的反射は認めず,感覚は正常である.
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