今月の主題 慢性心不全を最近の知見から整理する―病態生理から治療まで
付録
心不全治療に関する臨床試験一覧
渡辺 淳
1
1東北大学医学部循環器内科
pp.1910-1915
発行日 2004年11月10日
Published Date 2004/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101177
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循環器領域大規模治験の歴史は,心不全に対する治験の歴史であると言って過言ではない.本稿では心不全治療に関する臨床試験を一覧表の形でまとめる.すべてを網羅することはもとより不可能である.システマテックレビュー(SR)およびRCTで予後を評価項目とした臨床研究を対象とした.目的は臨床試験論文へのアクセスを容易にすることであり,詳細は読者自身が原著にあたっていただきたい.わが国で実行可能な治療を中心としたが一部未認可のものも含まれる.
解 説
多くの臨床試験は主観的判断を排除するため,全死亡や心不全入院など客観的事実を評価項目(end points)としている.無作為化対照研究(RCT)において全死亡が有意に改善した場合,予後改善効果が証明されるが,死亡率のみが抑制されるわけではない.心筋能改善に伴うADL(activity of daily living)改善も期待できるが,これは数字としては表されてはいない.ある臨床試験からのエビデンスを実際に適応する場合,対象患者が被試験群と完全に合致する必要はないと考えられる.Sackettらは名著“Evidence-Based Medicine”38)の中で,症例の“同一性”よりも有用なエビデンスを適応できないほどの“異質性”が明らかでない限り適応可能であると主張している.
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