病理との付き合い方 病理医からのメッセージ(6)
病理解剖
新井 冨生
1
1東京都老人医療センター臨床病理科
pp.1682-1686
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100293
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病院における病理医の仕事の一つに病理解剖がある.病理解剖は亡くなられた方を対象とし,全身を検索対象とする点で,生検,手術標本,細胞診と異なる.また,医療の高度化に伴い最近臨床医も専門化,細分化が著しく,全身をみる病理解剖は意義深いと考えられる.病理解剖の主な目的は死因の特定,病態の解明,治療効果の判定などであり,医療における精度管理の役割もある.本稿では,まず病理解剖の法的事項に触れた後,病理医からのメッセージ(表1)を時間的流れに沿って紹介する.
病理解剖に関する法的事項
1. 死体解剖保存法
病理解剖の実施は法律に基づいて行わなければならない.本来,遺体を傷つけることは刑法190条死体損壊罪にあたる犯罪行為であるが,法律で規定された範囲内では遵法行為となる.死体解剖は1949(昭和24)年に制定された「死体解剖保存法」により実施されている.この法律には,解剖の目的,実施の手続き,解剖の執刀者,解剖実施場所などが規定されている.
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