特集 大学の公衆衛生教育
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻について
中原 俊隆
1
1京都大学医学部公衆衛生学教室
pp.462-466
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902323
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平成12年4月1日に,社会健康医学系専攻が京都大学大学院医学研究科の中の一専攻として設置された.この社会健康医学系専攻は,学部を持たない独立専攻大学院として,また高度専門職業人の養成を旨とする専門大学院として設置されたものであり,その概要を学生募集要項から引用すると次のとおりである.
「医学の生物学的アプローチはますます細分化し,先端化しつつあり,その進歩を担うことが大学の医学部で行われる教育,研究,医療の大きな使命である.しかし,医学の社会的応用としての医療は,生物学的アプローチの延長線上でのみ成立するものでないことは明らかである.健康と疾病に対する国民の多様化する価値観,急速に進む高齢化社会,増大する医療費,国際化するなかでの新興・再興感染症などは,細分化し,先端化する生物学的アプローチとは異なる視点によってのみ解決が可能となる問題である.特に限られた医療資源をどのように用いれば,最も多くの人々が医療の恩恵を被ることができるのかを追求することが,先進諸国,開発途上国を問わず,避けて通れない重要なテーマとなっている.」
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