連載 全国の事例や活動に学ぶ
今月の事例 香川県丸亀保健所
市町村保健活動支援ツールとしての「みんなのほけんかつどうハンドブック」の作成
福永 一郎
1
,
鈴木 亮而
2
1香川県坂出保健所
2愛知県岡崎保健所
pp.678-679
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901959
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- 文献概要
保健活動の主役は住民である.都道府県型保健所は,一次的に住民と接する市町村段階の保健活動を支援することが地域保健法では明瞭に位置づけられており,保健所の市町村に対する二次機能というものは,本来「ノウハウ」を伴った支援でなければならない.企画調整,情報機能とか,市町村職員の研修機能は,単に技術的なスキルを提供するだけでは公衆衛生の機能を発揮しているとはいえない.市町村の公衆衛生従事者は,本来,公衆衛生理論を現場に応用できる能力を持たなければならないが,現実には日々の仕事に追われ,勉強する機会もなかなか得られない状態が一般に見られる.例えば保健婦では,免許取得後公衆衛生を系統的に学ぶ場は確保されていないし,栄養士や事務職員は,一度も公衆衛生(理論)を系統的に習った経験がないのが普通である.したがって,計画的な保健活動とか,疫学,保健行動という理論は,実際の仕事にはあまり使われていないのが普通で,多くの現場では,「本当に今して来ている仕事は住民に役立っているのだろうか」とか,「何か他にしなければならないことがあるのでは」という悩みや気づきをもっていても,多くはそれを具体化し解決する方法を持たされていない.保健所による市町村の支援にあたっての専門性とは,単に各論的な専門ではなく公衆衛生のプロセスのノウハウをもっていて,それを惜しみなく地域に提供するということであろう.
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