連載 疾病対策の構造
癌の動きの考え方
倉科 周介
1
1東京都立衛生研究所
pp.410-414
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901499
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ほかのいくつかの疾患と同様,有効確実な回避手段がいまのところはないという認識から癌の対策は始まる.だから状況は20世紀前半の感染症対策に似ている.いや,考えようによっては,それよりも論理的には不確かな状況にあるといえるかも知れない.今世紀初頭には,少なくとも感染症の原因についての原理的な整理は終わっていたからである.今日の感染症対策も決して万全とはいえないが,それに匹敵するような明晰さと確実さを癌対策が備えるまでには,なお多くの曲折が必要であろう.
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