保健行政スコープ
第三者病院機能評価の動きと今後の課題
山本 光昭
1
1厚生省健康政策局指導課
pp.381-383
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901488
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第三者病院機能評価の経緯
日本の医療は,その均一性や高い医療技術などで世界に誇れる成果をあげている.その直接の原動力が医療機関や医療関係者にあることは自明であるが,保健所が中心となって実施してきた医療監視制度が有効に機能してきた結果であるとも言えよう.
医療監視員制度は,医療法に基づき各病院に立入検査を実施し,構造設備,人員配置などのいわゆるハード面を中心に基準を満たしているかをチェックすることによって,医療の質の確保に努めてきた.しかしながら,医療の質は,ハード面のみで担保されるものではなく,診療内容,看護サービス,地域ニーズの反映,患者の満足度といったソフト面の担保が重要である.ソフト面のチェックについては,医療関係団体や研究者によって「病院機能評価」ということで様々な評価方法が検討されてきた.こうした動きを踏まえ,平成5年9月,厚生省内に「病院機能評価基本問題検討会」(座長:井原哲夫・慶應義塾大学商学部教授)が設置され,病院機能の第三者評価の基本的なあり方について検討が進められてきたが,平成6年9月にその報告がまとめられた.この報告書では,図に示すごとく,病院機能評価を実施する第三者機構の設立の必要性が指摘され,さらに国民のための医療の質の確保という公益性を勘案し,同機構は学術性,中立性を保持した財団法人であることが望ましいとされた.
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