連載 疾病対策の構造
廃棄物への対応—し尿
片山 徹
1,2
1(財)日本環境整備教育センター
2(財)産業廃棄物処理事業振興財団
pp.410-413
発行日 1995年6月15日
Published Date 1995/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901283
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1.し尿をめぐる感染症,水質汚濁
コレラは,19世紀を代表する最も衝撃的な伝染病であった.この病気は,水の汚染を通じて伝染するところに特色があり,その原因が患者や保菌者のし尿中のコレラ菌にあった.
し尿は,人が摂取した水や食物が消化,吸収,代謝の過程を経て,その残渣として量的に尿5〜6回/日(1〜1.5l/日),大便1〜2回/日(100〜250g/日)となって排泄される.し尿中には未消化物として炭水化物,粗蛋白,粗脂肪が存在しているが,病原微生物および寄生虫卵を含む危険があること,有機質の腐敗性を有していること,硫化水素などの臭気物質を含有していることなどから,その処理をめぐっては先人の血のにじむ努力の積重ねと成果の上にたって今日を迎えている.
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