特集 水と公衆衛生
水質新時代の水道行政
早川 哲夫
1
1厚生省生活衛生局水道環境部水道水質管理室
pp.792-796
発行日 1994年11月15日
Published Date 1994/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901148
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◆はじめに
わが国の水道は,明治以来一世紀余りの歴史を経て着実に整備が進められ,平成5年3月末現在の全国の水道普及率は95.1%に達している.今や水道は,国民生活に欠かすことのできない施設として社会に定着し,公衆衛生の向上と生活環境の改善に大きな役割を果たしている.
しかしながら,近年,首都圏や近畿圏を中心に毎年1,500万人から2,000万人にも及ぶ異臭味被害が生じており,水道水中のトリハロメタン等の有害物質の問題が生じている.一方,浄水器やボトルウォーターの普及が急速に進むなど,国民のニーズは多様化かつ高度化している.
このような状況に対処するため,厚生省は,平成4年12月,約30年ぶりに水道水質基準を大幅に見直し,基準の拡充・強化等を行った.
また,水質基準に適合した安全で良質な水道水を安定的に供給するためには,水道原水自体の水質の保全を図る根本的な対策が必要であり,厚生省は農林水産省,建設省とともに水道原水の水質の保全に資する下水道,合併処理浄化槽などの生活排水の処理施設の整備や河川の浄化事業などの実施を促進する「水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律」をとりまとめた.
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