保健活動—心に残るこの1例
在宅酸素療法のSさんとの出会いから
下田 宏子
1
1熊本県八代保健所
pp.878
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900939
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私にとってSさん夫婦との出会いは,「よりよい在宅ケアを目指すためには」,また「人としての生き方とは」,「今,保健婦に何が求められているか」等を考えるにあたって,今までの活動を反省するとともに大きな学びとなったケースである.
Sさん(62歳)とは,結核患者としてのかかわりから始まった.Sさんは19歳から53歳まで近くの砥石山で採石業につき,44歳で肺結核と診断され結核通院治療が始まった.56歳でじん肺と労災認定を受け,身体障害者手帳2級となり仕事をやめた.風邪をこじらせ入院した.主治医から在宅酸素療法(以下HOT)を紹介され,61歳から在宅ケアが始まる.妻が内服薬と酸素流量の指示を受けていた.
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