特集 廃棄物処理—公衆衛生の課題
廃棄物問題から要求される循環型社会システム
田中 勝
1
Masaru TANAKA
1
1国立公衆衛生院衛生工学部廃棄物工学室
pp.843-847
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900477
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◆世界の行動目標「資源保全」
毎年サミットが開かれ,先進諸国の首脳が集まって世界の平和と繁栄のために国際秩序の構築を目指して話し合われている.1991年のサミットはロンドンで開かれ,経済宣言が発表された.いくつかの大きな柱の一つは「環境」である.その中で「国際社会は,今後10年間に環境面での重大な挑戦に直面する.環境の管理は,引き続き優先課題である.我々の経済政策は,この惑星の資源の利用が維持可能なものであり,現在および将来の両世代の利益を保護するものであることを確保すべきである」と述べている.1979年の東京サミットでは,石油の消費・輸入の上限目標を設定し,石油を始め天然資源の保全を世界の行動目標とした.これが世界の最上位の計画目標と位置付けられる.1989年のフランス・アルシュのサミットでは,地球環境の保護が宣言文に載り,その後毎年環境問題が大きく取り上げられ扱われている.このように世界で最も重要な課題の一つは「環境問題」であり,特に「資源の保全」が大切になったことが明確になってきた.
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