衛生施策の動向・都道府県 新潟県
むし歯半減10カ年運動
永瀬 吉彦
1
1新潟県環境保健部公衆衛生課歯科保健係
pp.507
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900142
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WHOは,2000年までに達成すべき歯科保健目標を設定し,その一つとして12歳児の1人平均むし歯数を3本以下にする国際目標を提示し,各国にフッ化物応用を中心とする公衆衛生的歯科保健対策の推進を勧告している.一方,わが国におけるう蝕罹患状況は依然として高い値を示しており,フッ化物利用の遅れがその主因であると指摘されている.このような状況の中,新潟県では,昭和56年度から子供たちのむし歯を半減させることを目標とした「むし歯半減10カ年運動」を県民運動として推進しており,年々着実な成果を上げている.
この運動の特徴は,第1に県民の共通目標となる達成すべき目標値を定めたことである.第2の特徴は,妊婦から中学生までを対象に,従来から行われてきた歯科健診や歯科保健指導の事業に加えて,乳歯のむし歯予防対策としてフッ素塗布及びフッ化ジアンミン銀塗布を,永久歯のむし歯予防対策としてはフッ素洗口を集団的に行うなど,フッ化物応用をう蝕予防の中心に位置付けていることがあげられる.第3の特徴は,これらの事業の実施主体を市町村としたことであり,県はむし歯予防事業を実施する市町村に対し補助金を交付し,事業の推進を図ってきた.なお,平成2年度における「むし歯半減10カ年運動」推進予算は2,396万円であり,内訳は,啓発普及費890万円,市町村への補助金1,427万円などとなっている.
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