連載 衛生行政キーワード・140
新型コロナウイルスに関連する国際動向
野口 千彰
1
1厚生労働省大臣官房国際課
pp.763-766
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209733
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はじめに
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により,国際保健分野において,ダイナミックな動きが起きている.2020年より複数の団体が,世界保健機関(world health organization:WHO)を含む国際機関や各国,国際社会における新型コロナウイルスへの対応状況の分析を行い,提言を公表した他,国際的なハイレベル(高官)会合でも,感染症を始めとする健康危機への対応が中心的な議題となっている.国境を越えた感染症の流行は,歴史をひもとけば今回が初めてではないが,ここまで急速に世界中に広まり,人々の生活に影響し,あらゆる国の経済活動に打撃を与えたものはいまだかつてなかったのではないか.同時に,新型コロナウイルスに対するワクチンが,前例のない早さで実用化されたことは,医薬品の研究開発の主流が非感染性疾患となった今日においても,感染症分野への研究開発投資が重要であることを明らかにした.
今回は,新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年から現在に至るまでの間に活動している,今般のコロナ対応に関連する国際的な団体,また,開催された主要な保健に関連する国際的な会合の中でコロナ対応が中心的な議題となったものを紹介し,今後の展望について述べる.なお,本稿の内容は厚生労働省の見解ではなく,筆者個人の見解である.
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