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はじめに
「グローバルヘルス」(global health)とは,地球規模で健康格差の改善に取り組む諸活動のことである.2016年に始まった「持続可能な開発目標」(sustainable development goals:SDGs)では「誰一人取り残さない」というキーフレーズが用いられており,そのためにも健康格差の改善は重要な課題である.
数あるグローバルヘルス課題の中で,「Lancet」誌の編集長リチャード・ホートン氏は,21世紀の課題を二つに絞りこんでいる1).第一は気候変動による健康影響(climate emergencies)であり,世界的に注目を集めている.第二はジェンダー不平等(gender inequality)であるが,まだ深い関心は寄せられていない.この課題に向けた取り組みを推進させるためには,女性の強いリーダーシップが必要である.SDGsが始まって5年,第4回世界女性会議における「北京宣言及び行動綱領」が採択されてから25年を経た2020年は,ジェンダー不平等を克服するために重要な年である2).
女性のリーダーシップという点において,ファーストレディー時代から福田貴代子氏が進めてきた母子手帳推進の活動は注目に値する(83巻11号の本連載第1回を参照).アフリカでは,37カ国のファーストレディー(大統領夫人)からなるOrganisation of African First Ladies against HIV/AIDS(OAFLA. 2002年に成立)の活躍が知られている3).一方,アジアではそのような活動はいまだ一般的ではない.
本稿では,福田貴代子氏が顧問を務める一般社団法人親子健康手帳普及協会(URL:http://oyako-kenkotecho.com/)によってなされた中国における母子手帳推進のプロセスを紹介する.
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