特集 データヘルスの活用—公衆衛生活動に生かす
扉
古井 祐司
1,2
1東京大学未来ビジョン研究センターデータヘルス研究ユニット
2自治医科大学
pp.5
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209300
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「データヘルス」という言葉が初めて世の中に登場したのは2013年です.超高齢社会・日本において国民の健康寿命の延伸のための予防・健康管理を進める新たな仕組みとして,同年に政府が打ち出した「日本再興戦略」で掲げられました.医療保険者がその主体となっていることから,公衆衛生活動とは別の物と思われがちですが,加入者(国民)の健康と生活の質向上を目指すアクションは公衆衛生活動の推進そのものです.また,データヘルスの制度設計では,全ての国民を対象とすることが強く意識されている点も公衆衛生活動の理念と親和性があります.
データヘルスの最大の特長の一つは,データに基づく健康課題の可視化です.全国の地域や職場の健康課題を共有し,課題解決に有効な取り組みのノウハウを蓄積することが可能です.多様化する健康課題に対応するには,部署を横断する取り組みや地域資源の共創が不可欠になっていますが,データヘルスの枠組みに乗ることで,公衆衛生従事者それぞれが持っている暗黙知が明文化され,皆で共有し活用できるようになります.また,レセプトや健診データに基づく形式知が専門職の活動の効果や問題点を明確にし,公衆衛生活動の進化につながります.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.