連載 いま,世界では!? 公衆衛生の新しい流れ
WHOによる感染症サーベイランスシステムの構築と実践
西野 恭平
1
,
進藤 奈邦子
1
1世界保健機関本部感染リスク管理部(Department of Infectious hazard management)アルボウイルスコントロールチーム
pp.75-79
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208817
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はじめに
感染症コントロールは世界保健機関(World Health Organization:WHO)の主要な役割の一つであり,感染症サーベイランスはその核といえる.現在,感染症のリスクは,衛生環境,経済状況,人口構造などによって差はあるものの,依然として,世界中で年間約1,200万人もの命を奪っていると推定されている(周産期異常と栄養障害も含む)1).過去40年の間に全ての大陸で新興感染症が確認されており2),また,進行するグローバリゼーションは人だけでなく,2003年に発生した重症急性呼吸器症候群に代表されるように,病原体にもボーダーレス化をもたらした.
国際社会を感染症の拡大の脅威から防ぐべく,WHOは加盟国およびパートナーと協力し,世界規模の感染症サーベイランスシステムの構築と実践に取り組んでいる.
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