特集 薬剤耐性(AMR)対策
AMR対策としての抗菌薬使用動向調査の有用性
村木 優一
1
1京都薬科大学医療薬科学系臨床薬剤疫学分野
pp.804-808
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208755
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はじめに
抗菌薬耐性菌の増加は公衆衛生上の世界的な問題となっており,世界各国で対策が取られている1).中でも,多剤耐性菌は入院期間の延長や罹患率を上昇させるだけでなく,死亡率も上昇させる2).そのため,微生物の耐性率や耐性化に影響を及ぼす抗菌薬使用状況の継続したサーベイランスの重要性が認識され,諸外国では国家レベルで実施されている.わが国においても,厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業として耐性菌の感染発生動向調査システム(JANIS:Japan Nosocomial Infections Surveillance)が構築され,経年的に実施されている.その一方で,わが国には抗菌薬使用量の大規模なサーベイランスの仕組みは存在しなかった.
本稿では,筆者らが構築した抗菌薬使用動向調査の目的と,その有用性について論じる.
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