特集 子どもの貧困と健康
扉
pp.461
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208458
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
近年のわが国において,社会の経済格差が拡大し,貧困にあえいでいる家庭が増加していることがマスコミ等によって指摘されています.特に子どもの貧困の増加がたびたび取り上げられており,子どもの貧困率が2012年には16.3%となり,子どもの6人に1人が貧困状態であると報道されています.さらに,2015年のOECDの発表では,加盟34カ国中,わが国の子どもの貧困率は,OECD平均を上回り,11番目に高かったとされています.また,ひとり親の家庭では約6割の子どもが貧困であると指摘されています.
貧困が健康に影響を与えることはよく知られていますが,特に子ども,幼少期の貧困は,低栄養や劣悪な生活環境が生涯にわたる健康影響を引き起こすことが予測されます.さらに,近年,子どもの貧困が精神発達や脳の発達に影響を与えると言われています.加えて,家庭の経済的貧困が子どもの教育機会を奪う可能性があることは,低学歴・低学力のみならず,健康や栄養についての知識不足を招き,やはり大人になった時や成長過程における健康問題に結びつく可能性も考えられます.また,子どもの貧困が低学歴や低学力に結びついていることは,成人後の貧困の連鎖に繋がっていることも何度も指摘されています.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.