特集 死因究明制度の現状と将来展望
扉
pp.293
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208172
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わが国では,死因究明は通常,警察と法医学の人々に委ねられています.ところが,1996年3月に東京都港区内で発生したパロマ社製瞬間湯沸器の不具合による一酸化炭素中毒死亡事故や,2007年6月に名古屋で時津風部屋の当時17歳の少年が心肺停止状態で搬送死した事件において,遺族が疑問をいだき関与したことにより死因究明制度の問題点が露見するところとなりました.国民の安全意識が高まってきているのに死因究明の制度がそれに追いついていない現状が明らかにされたのです.安全,安心な社会を実現するためには,事故,暴力・虐待などの社会災害に関わる死因究明制度を充実・強化していくことが求められています.
その後,2012年6月に「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(死因・身元調査法)」が制定されました.また「死因究明等推進法」が時限的に制定され,死因究明制度の現状分析にもとづく制度の見直しを示す最終報告書が2014年4月に出されています.しかし,まだ死因究明制度の充実,強化されていく道筋がみえる状況にはありません.
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