調査報告
岐阜県高根村における民間薬の利用—現代医療との共存下に占めるその役割
瓜田 啓子
1
,
重山 昌人
1
,
山崎 太
1
,
二村 貢
2
Keiko URIDA
1
,
Masato SHIGEYAMA
1
,
Futoshi YAMAZAKI
1
,
Mitsugi FUTAMURA
2
1高山赤十字病院薬剤部
2高根村国民健康保険診療所
pp.783-787
発行日 1988年11月15日
Published Date 1988/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207819
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●はじめに
昔は,都市部を遠く隔てた地域では,現代医療を受ける機会に乏しく,発病すればその多くは,古くからその地域に伝承される民間療法あるいは配置販売薬に頼るところが大きかったと思われる.
ところが,昭和40年代半ばから自家用車ブームが到来したことにより道路事情も格段に良くなり,かなりの遠方からでも患者は時間を問わず,都市部の医療機関への受診が可能となったのである.健康保険さらには老人医療費の軽減といった諸制度の導入により,廉価で質の高い医療が受けられることから高山赤十字病院へも,公的な交通機関を利用するだけでは不便な遠隔地からでも,患者が多数来院するようになったと思われる.これらの状況を鑑みる時,民族の知恵の結集ともいうべき民間療法は,次第に衰退していくのではないかと危惧される.
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