特集 産業医学最近の話題
産業精神衛生
安井 義之
1
Yoshiyuki YASUI
1
1(株)旭ガラス研究開発部
pp.394-396
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207704
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■はじめに
産業精神衛生――職場における精神健康(mental health in industry)――という言葉も現在では職場に定着したようであり,企業の側から産業精神健康管理の充実をかえって要望する声さえ聞かれる.著しい技術革新の進展,情報化社会の普遍化に伴って,職場の様相も数年前とは全く変わってしまった,この社会的,技術的変容に労働者は常に適応し続けなくては生きてゆけない.
わが国は世界最高レベルの高齢化社会になってしまった.この労働人口動態の急変に対応するため,企業は諸施策を急速に進めている.中高年齢労働者はこの事態にも適応しなくてはならない.無資源国であるわが国が生き延びて行くためには,すぐれて国際化が必要なことはいうをまたない.円高不況,貿易摩擦などのこともあって,産業人が国外で仕事をする機会は増大するばかりである.異質な文化圏の中で,ある場合には生命の危険をおかして,苛酷な条件下で労働生活を維持しなくてはならないことさえある.産業人に対する精神的な海外不適応への対策が,今日ほど必要なことはない.
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