特集 医師会活動
医師会と衛生行政
安西 定
1
Sadamu ANZAI
1
1昭和大学医学部公衆衛生学教室
pp.148-154
発行日 1986年3月15日
Published Date 1986/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207218
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■はじめに
国の近代化への発展過程のなかで,その時代の社会,経済,政治の諸条件に規定されながら,多くの困難を経験しつつ今日までに近代的衛生行政が構築されてきた.一方,医師会もまた衛生行政の構築に対応しつつ,医学・医療の専門学術団体として今日まで,国民の保健医療の向上と発展に寄与してきたことは特筆される.わが国の公衆衛生はもっぱら衛生行政と医師会活動に負うところが極めて大きくその中核となって発展してきたといえる.
そして,急性伝染病の制圧,国民病といわれた結核の制圧,乳児死亡率の激減,生活環境の改善,医師はじめヘルスマンパワーの養成確保,保建・医療機関の整備,地域医療の充実,科学技術の開発,国際協力等々に輝かしい成果を収めてきたところである.しかしながら,衛生行政,医師会を取り巻く最近の諸情勢は極めて厳しく,新しい多くの困難と課題に直面しているといえる.
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