講座 公衆衛生学の最近の進歩・21
衛生行政・法規
安西 定
1
Sadamu ANZAI
1
1昭和大学医学部公衆衛生学教室
pp.41-46
発行日 1983年1月15日
Published Date 1983/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206641
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わが国の衛生行政の出発点とみなされている医制76条の公布(明治7年,1874年)から100有余年が経過した.
この100年余の衛生行政の歩みをふり返って痛感されることは,国の近代化への発展過程のなかでその時代の社会,経済,政治の諸条件に規定されながら,多くの困難を越えて今日までに近代的衛生行政を確立したことである.わが国の公衆衛生はもっぱら衛生行政として受けとめられ発足したところにその特質があるともいわれ,いつの時代においても法治国家のもと衛生行政が公衆衛生の中核をなしてきたことは否めない.そして,急性伝染病の制圧,国民病といわれた結核の制圧,乳児死亡の激減に示される母子保健の確立,生活環境の改善,ヘルスマンパワーの養成確保,科学技術の開発,国際協力等々に輝かしい成果を収めてきたところである.
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