日本列島
コレラ騒ぎを終えて
藤島 弘道
1
1長野県衛生部保健予防課
pp.143
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207216
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長野
昭和60年5月13目14時45分頃,市内の観光業者から,「同日昼頃,シンガポールに残してきた添乗員から,5月8日,腹痛・下痢症状で,シンガポールの空港病院に入院中の患者が,コレラで隔離されたと連絡があった」と電話があった.内容を聞くと,5月5日成田発,バリ島・ポロブドール遺跡・シンガポール観光,11日成田着という旅行で,県内の参加者38名,添乗員2名計40名の団体であるという.そのうち1名が8日上記の症状で,空港病院で診察をうけ入院し,妻と添乗員が付添っていたが,その患者が真性コレラと診断されたということであった.
急遽同行者名簿をとりよせ,各該当保健所に,同行者全員の検便と,結果が分かるまでの足止めを連絡した.15日に2人がエルトール小川型と同定されたのをはじめ,11人からコレラ菌が検出された.その後2次感染の疑いをもたれた1名を加え12名が隔離されたが,6月2日,全員が隔離解除され,同3日終息宣言という運びになった.結果から見れば,2次感染もなく,無事終わったという事であるが,我々とすれば種々教訓を得た.
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