日本列島
がん検診事業
井口 恒男
1
1岐阜県衛生環境部地域保健課
pp.821
発行日 1984年11月15日
Published Date 1984/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206956
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岐阜
がん対策の各県の情報交換の1つとして各県の対がん協会の交流があるが,東海北陸地方では7県の関係者が毎年会議をもっており,59年は7月岐阜市において催された.
老人保健法が58年2月施行され,初年度ともいうべき58年度の老人保健事業の成果がまとまりつつある時期であり,がん検診事業を中心とした課題について協議が行われた.各県とも老人保健事業の中で,機能訓練やがん検診(胃がん検診と子宮がん検診)の事業の進捗が進まず,厚生省の目標水準に達しているところは少ない.とりわけ胃がん検診の事業停滞が目立つようであり,その理由がいくつかあげられている.①受診者が固定化の傾向にあること,②従来の検診機関への補助制度に代り受診者への補助制度となったことから,検診機関は検診料による独立採算制を採用することになり,見かけ上の検診料が上ったこと,③X線の撮影手技が変ったこと(粘膜前壁レリーフ像の採用や6枚撮影法などにより,1日の処理人員が従来より減少している)④スクリーニング精度が不効率であること(受診者の10%以上が要精検となるが,精検の結果は1,000人に1例前後のがん発見率である)⑤検診車等設備費が高額であること,⑥がんが多様化してきたこと(他部位のがんの相対的増加)などである.
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