日本列島
海を渡る病院(済生丸)20年誌について
堤 隆信
1
1岡山県地域振興部
pp.382-383
発行日 1984年5月15日
Published Date 1984/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206870
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岡山
1.はじめに
社会福祉法人・恩賜財団済生会広島・愛媛・香川・岡山の4県済生会支部は,昭和37年から始めた,瀬戸内海離島の予防医学活動を集大成した報告書「済生丸20年誌」(B4版・140頁)をまとめられた.
この書物を読んで印象深く感じることは多くあったが,特に①1公的病院がへき地医療活動を独自に運営した事業であるばかりか,行政域を越え,4県にまたがる事業であること,②今日では,プライマリーケアーが関心を呼んでいるが,20年前に,病院がプライマリー・ヘルスを旗印にかかげてきた事業であったこと,③離島民の診療・治療・衛生教育を包括的に行ったこと,そのためには住民の(島の)自然的・社会的な要素を綿密に調べ,住民の意識を把握(島別,住民基本台帳の整備)しながら,その人々の衛生思想の向上と行動の変容を期待した事業であったこと,④4県という広域事業であるため各県における済生会支部間の連係がきわめて円滑に作用することが必要であったことなどであった.
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