調査報告
巨大都市における人口高齢化と死亡構造の分析—東京都特別区の循環器疾患死亡を中心として
佐久間 淳
1
Kiyoshi SAKUMA
1
1埼玉県立衛生短期大学
pp.394-399
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206716
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はじめに
一般的に人口高齢化の進展は,都市に比べて農村のほうがより顕著と考えられている.ところが後述のように,巨大都市の典型とも見られる東京都特別区などにおける各種統計によると,意外な状況が認められるのである.たとえば昭和30年から55年までの26年間に,東京都全体の65歳以上者の割合は,3.5%から7.7%に2.2倍となった.この間に全国平均は,5.3%から9.1%に1.7倍の増加となっている.こうした東京都の人口高齢化には,いわゆる"人口ドーナッツ化現象"と呼ばれている,特別区における影響力がきわめて大きい.都心部から人口が都周辺区や衛生都市,近県へと流出したことと符合するものである.したがって,この26年間に東京都特別区における65歳以上者の平均は,3.4%から8.2%まで2.4倍強に上昇した.なかでも千代田区は3.3%から13.2%(4倍)に達し,伸び率が第1位となり,ついで中央区が3.5%から13.3%(3.8倍),台東区が3.3%から12.1%(3.7倍)になっている.反対に江戸川区は3.5%から6.1%(1.7倍),練馬区は2.4%から6.4%(1.8倍),足立区は3.4%から6.4%(1.9倍と順に低い上昇率である.
この間における人口変動を国勢調査でみてみると,昭和30年には特別区の総数が対前期29.4%の増加であった.しかし.その後は漸減し,昭和45年には0.6%のマイナスとなり,55年には3.4%の減少を示している.
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