特集 国際保健協力
国際保健協力に参加して—インドネシアでの体験を通じて
金光 正次
1
Masatsugu KANAMITSU
1
1札幌医科大学衛生学
pp.9-14
発行日 1982年1月15日
Published Date 1982/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206453
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私が開発途上国の保健医療に関心を抱いたのは,昭和33年インドで開かれた第2回アジア保健会議に出席した後,中近東とアフリカの医療事情を視察したことに始まる.インドでハンセン氏病患者の多いのに驚き,鎖国を解いて間もないネパールに米国とソ連が医療援助を競い合うのを見,この僻遠の山国にも米ソの勢力が相争っているのを感じた.西パキスタンのカラチ郊外にはカシミール地域から追い出されたイスラム教徒の難民が溢れ,宗教による対立の深刻さを教えられた.イランでは砂漠の下にカナート(地下水道)を作った住民の智恵に感嘆し,エジプトのギザ保健所を訪ねた時は,保健婦の案内でピラミッドを望む農村をめぐった.アレキサンドリアのWHO支局は,長年エジプトの農村衛生の改善に力をそそいで来たが,生活環境と農業生産力があるレベル以下の農村には効果がなく,もっと条件の良い土地に全村を移す以外にないといっていた.
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