資料
母子健康手帳の記録について—脳性小児麻痺の事例から
岡本 裕
1,2
Hiroshi OKAMOTO
1,2
1日本大学医学部公衆衛生学教室
2現在,松山市民病院内科
pp.958-961
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206445
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過去には医学や社会から見放されていた脳性小児麻痺(以下CPと略す)は,近年に至り早期診断,早期治療が予後に重大な意義を持つことが注目され関心がもたれるようになってきた.厚生省心身障害研究班などの努力により,主な医療施設では未熟児などのhigh riskをもつ小児の管理がシステム化され,心身障害児の早期診断に成果が上げられている.小児神経の専門施設ではVojta1)法などのすぐれた方法が開発されているが,まだ全般的なものではなく,保健所などでの集団的に行われている乳児検診には,対象人数や専門医の数などの問題点が多い.諸氏の報告からみて,CPに周産期の障害が明らかに多いことから,集団的には,まず危険因子をもつ小児の二次検診体制などによる重点管理が望まれている2),しかし,実際に周産期の情報を得ることは困難な場合が多い.
著者らは,一般に広く使用されている母子健康手帳が,CPに関連して,妊娠,分娩などの状況の情報源として活用できるものかどうかを検討する目的で,これらの記載内容を調査したので報告する.
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