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はじめに
母子健康手帳といえば,強烈な思い出が2つある。1つは,今ではきちんと医師と助産師と2つの欄があるのだが,分娩を取り扱っているにもかかわらず助産師の名前を記載できない時代に,欄外記載で助産師による分娩介助記録を主張したこと。2つめは,講演された先生の熱意に圧倒されたのかもしれないが,母子健康手帳は日本が世界に誇れる優れものであり,国際的な力を持っていることを知ったこと。今でも当時の英訳版を大切に持っている。「英訳に寄せて」を見てみると「It is our great pleasure if the objectives of the Handbook can become a good reference to many countries in the world and help all the children in the world to have healthy and happy lifer. March 1983」と締めくくられているのだが,20年後の現在,それは実現し,さまざまな言語に訳され活用されている。
そして,母子健康手帳といえば,平成14年に大幅な改訂が行なわれた。改めて,母子健康手帳の歴史や,改訂の内容についてじっくり読む機会をもった。そのとき,母子健康手帳自体の歴史的な重みを感じたのであるが,同時に,母や子は母子健康手帳を通してどのような体験をしているのだろうか,知りたくなった。
今回も3人の母親に協力をしていただき,母子健康手帳をもらったときの気持ち,妊娠中から現在までの母子健康手帳に対する思いやどんなふうに活用しているか,また自分自身の母子健康手帳についてなど,メールでやり取りした。さらに子の立場として4人の学生にも協力してもらい,自分の母子健康手帳をみたときの思い,第2子以降では母子健康手帳への記載が少なくなることへの考えなどを記述してもらった。母子健康手帳の日常的な意味を探索してみた。
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